五章

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…―… … 翌日、出勤してすぐに女子トイレで髪を整えていると、複数の女子社員が入ってきた。 「そうそう!ショックだよね~」 「それって本当なの?」 「本当だよ。他にも見たってよ」 「森永ちゃん可愛いもんね~確かにお似合いって感じがする」 「そうだよね~椎名君人気だけど森永さんならって思う人多いかも」 「じゃあ付き合ってるのかな」 「んー、それはわからないけど、森永さんって確か椎名君と帰る方面違った気がするのよね~。二人っきりで飲みに行ったとか?」 「なるほどね。そのあと泊ってたりして」 昨日のこともあり、珍しくメイクをしっかりして出社した。髪型も普段ならば無造作に結んでいたのを少しだけヘアアレンジをしていた。 それも自分なりの頑張り方だった。だけど、ちょうどトイレに入ってきてメイク直しをしている女子社員たちの会話に頬が強張っていくのがわかる。 この間、椎名君は私のことを例外だといった。そして抱いてくれた。 だけどよく考えるとそれが私だけに言っているとも限らないし嘘かもしれない。 元々モテ男で、チャラい彼が他の女性ともそういう関係になっている可能性も否定できない。 私だけが特別なわけではない。 化粧ポーチを手にしたまま、トイレを後にした。 フロアに戻ると椎名君がいた。眠そうにあくびをしていた。 「おはよう」 「おはよ」 挨拶をして椅子に座った。森永さんと何かあった?など聞けるわけがない。
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