六章

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「…っ…ん、」 背徳感を覚えながら角度を変えてキスを繰り返した。 そのうちこのまま続けたら抑えが効かなくなると思い、唇を離した。 こんなところでキスをしたのに、飛鳥は文句ひとつ言わない。拒否もしない。何故受け入れるのかそれも分からない。 「金曜日、泊まりに来たら?」 「…な、何言って…るの?」 俯きながらそう返した彼女に俺は半ば強引に続けた。 「じゃあ俺と飛鳥の関係他の人にばらそうかな」 「それはダメだよっ…絶対に!」 今度は飛鳥が俺の腕にしがみついた。絶対にやめてほしいという目を向けてくる。もちろん本気でそうするつもりはない。 ―嘘だよ そう言おうとした時、飛鳥はまだ上気したままの顔を向ける。 「ダメだけど…泊まりたい」 「…は?」 「泊りに行こう、かなぁって」 目が点になった。彼女はいったい何を言っている? 「泊まりに?俺の家に?」 「そうだよ、ダメかな!別にいいよね!だって、…椎名君、付き合ってる人いないんだよね?」 「…いいけど、っていうか俺から誘ったし」 「じゃあ、決定。そろそろデスクに戻ろうよ」 「待てよ。意味わかんないんだけど。なんで急に泊まりたくなったの?」
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