六章

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もう少しで18時になる。 ちらっと飛鳥を見ると、彼女も俺を見ていたようですぐに目を逸らす。 今日の予定はもちろん飛鳥との予定だ。 「飛鳥先輩は?行きます?」 「えっと…私も予定があって…ごめん。また今度行く」 「了解でーす」 俺は別にバレてもいいと思っているが、彼女はそうではないらしい。 あの夜の件も絶対に他言しないように念を押してきた。 「一緒に会社出る?」 「っ…ちょっと、小声で!」 耳打ちしたが飛鳥にとってはこのボリュームでもダメらしい。 慌てている彼女の反応こそが一番周囲から怪しまれるだろうに。 「先に会社出てるね」 「分かった」 飛鳥は先に「お疲れ様でした」と言ってフロアを出る。 俺も5分後に会社を後にする。
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