七章

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「わ、」 「おはよ。ねむ…」 「シャワー借りた。ありがとう」 「勝手に使っていいよ。俺もシャワー浴びてくる」 「うん。もう少しで帰るね」 上半身裸の彼にどこに焦点を当てればいいのか分からない。無意識に視線を他に移動させてしまう。 「帰るの?」 「…うん」 「予定ないなら今日も泊ったら?」 「え?!」 「そんなに驚くこと?それとも予定あんの?」 不機嫌そうにそう訊く彼に首を横に振る。 「じゃあいいじゃん、決定」と勝手に決めた椎名君は眠たそうにしてシャワーを浴びに向かった。 彼がシャワーを浴びている間、昨夜朝倉さんから来ていた連絡に返信していないことに気が付く。スマートフォンを手にして、すぐに返事をした。内容は当たり障りのないものだった。 それをしている間に椎名君がシャワーから戻ってきた。 「朝倉さん?」 「うん。ちょっと」 「ふぅん」 画面を見られたわけじゃないのにどうしてわかったのだろう。見透かされているような気がしてあまりいい気分ではなかった。 私が分かりやすいのだろうか? 「どっか行く?」 「どこか?」 「行きたいところないの?」 突然行きたいところはないのか訊かれるとすぐに答えることが出来ない。 悩んでいる私に 「ないなら俺決めていい?」 「いいけど…」 と、勝手に決めようとする。そもそも今日も彼と過ごすつもりはなかったから想定外なのだ。全部が。 椎名君が冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して一気に飲み干す。
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