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「女の子が好きな場所ってよくわからないんだけど、ベタでいきましょうか」
にやりと笑った彼が無邪気な子供のように見えて笑ってしまった。
何だよ、とすぐに口を尖らせる椎名君はたまに子供っぽくなるようだ。
支度をして電車で移動することになった。
どうやら水族館へ行くようだ。
「どうして電車なの?人混み嫌いじゃなかった?」
「嫌いだけど、電車使ってデートしたことって学生以来ないし」
「…そうなんだ。意外」
休日かつ天気もいいとなれば結構混みあう電車内で椎名君と肩が触れ合うほど近い距離で座っている。
(セックスしている関係のくせにどうしてこういう状況で緊張しちゃうんだろう…)
「水族館好きなの?」
「ん。好きではないけど大切なのは誰と行くかじゃないの?一緒に行く相手次第」
「確かに!」
「…」
大きく頷いた。
彼が片目を細め、はぁ、と盛大に息を吐く。
何故か呆れている彼に首を捻りながらいろいろと考えを巡らせていた。
どうすれば椎名君が私を好きになり、付き合ってくれるのだろうか、と。
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