七章

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羨ましいなと思いながらも予定外とはいえデートが出来ている今を十分に楽しもうと思った。水族館デートはもちろん経験はない。 椎名君と出会って彼と“初めて”を重ねている。彼にとってはただの暇つぶしかもしれないが私にとってはどれも大切な思い出なのだ。 入り口付近で既に混みあっている館内を見て椎名君に視線を移した。 (人混み、嫌いなはずだから…大丈夫かな?) しかし彼は表情を変えることなく進む。一階の入り口付近ではお土産が売っている。 本館と別館があるようで、本館二階に進むと天井までガラスに覆われた空間に入る。 そこではエイやマイワシなどの魚が泳いでいる。まるで自分たちも海の中にいるような気がして思わず感嘆の声を上げていた。 椎名君も「へぇ」と興味あるのかないのかわからないが声を出していた。 「水族館って…すごいね」 「たまに来ると楽しいかもね」 更に奥に進むと、同じように大きなガラスの向こうに南の海というテーマでサンゴ礁が広がっている。
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