七章

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チンアナゴやキイロサンゴハゼなども発見した。非現実的な世界が広がり癒されていく。 と。 「わ、すみません」 「ごめんなさい」 人混みということもあり、見知らぬ人にぶつかってしまった。 椎名君はそれを見て、私に手をさし出す。 「はい」 「…え、」 「手」 「…」 瞬きを繰り返し、状況を理解しながら彼の手に自分のそれを重ねた。 手を握られたことによって、傍からみれば私と彼は完全にカップルではないだろうか。 しかも、重ねるだけだと思いきや、すぐに指を絡ませる彼にひぃ、と声が出る。 「普通です」 「…そう、ですね」 普通なのだろうか?と思ったがドキドキしすぎてそれ以上声が出なかった。 「もう少ししたらイルカのショーがあるらしいよ。行く?」 頷きながらも全神経は手に集中している。 椎名君は相変わらず余裕そうだ。イルカのショーは屋外のエリアにあるようだ。目的地へ向かう途中、私はこの空気に飲まれて普段ならば言わないことを口走っていた。 「いいな、彼氏…」 椎名君の足が止まったせいで、私の足も強制的に止まった。
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