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昼食は水族館近くでお寿司を食べた。
何を食べたいか聞かれたから寿司と答えたが椎名君からは「魚あれだけ見た後に寿司を食べたいって正気か?」と言われたが素直に思ったことを答えただけだ。
お寿司はランチでそれなりにお安く食べることが出来た。夜は一人二万はするらしい。
お腹を満たして、電車で帰る流れになったが…―。
「今日はどうすんの?うち泊まっていけば?」
「…うん。そうだね」
「で、付き合ってくれるの?」
「いいの?彼女になっても…」
「もちろん」
どうしてなのかはわからないが、駅までずっと手が握られたままだった。
椎名君の機嫌は頗る良かった。
実感の湧かないカップルという関係に嬉しさと困惑が入り混じる。
「カップルって何するんだろう」
「別に、これまでと変わらないと思うけど」
「そうなんだ…。椎名君はそんなに彼女が欲しかったの?」
ちょうど電車が到着するアナウンスが流れている。
電車が到着する際に作られる強風が私の髪と衣服の形を変える。
騒がしい構内で椎名君が何かを話した。聞き取れなくて顔を近づける。
ちょうど、電車が到着した。
その瞬間聞こえた言葉に私は耳を疑った。
「彼女が欲しいわけじゃねーよ。お前が欲しいんだよ」
―好きなんだからしょうがないだろ
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