一章

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椎名雅は私の“宿敵”だ。 そう思っているのは私だけだろう。しかし私からすれば絶対に負けられない相手なのだ。 とはいっても…勝ったことなど一度もないのだが…。 「席は…宮崎さんの隣で」 チームリーダーの声に軽く頷き彼はすっと私の隣に座った。 「よろしく、同期だっけ?」 「そう、同期です。よろしく、宮崎飛鳥です」 同期入社とはいえ200人近く同じタイミングで入社しているから全員を把握するのは不可能だ。 すぐにパソコン画面の電源をつけて慣れた様子でセットアップをする。 そんな彼を尻目に幼少期を思い出していた。 私の家族は東大一家だ。 兄も東京大学を出ているし父も母も、だ。 小さな頃からピアノにバレエに習い事三昧だった。それだけではない。 両親は私が小さな頃から勉強熱心だった。父方の家系は政治家が多く、母方は経営者が多い。優秀なもの同士が結婚すればもちろんその子供も両親の遺伝子を受け継いでいる可能性は高いしその能力を引き出すための英才教育をしてあげられるだけの資金もある。
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