二章

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もう一人後から来店することを伝え、奥の個室へ通される。 靴を脱いで森永さんと向き合うように座る。 彼女も香苗さんと同様に肩に触れるか触れないかくらいのボブヘアを耳に掛けると小さめのピアスが光る。 (ボブヘアが流行っているのかな…?) 「先に飲み物頼んでおきましょう!」 「そうだね」 お互い生ビールにそれから 「お茶?」 「うん…、お茶飲みながら飲むよ」 「どうしてですか?」 「酔いすぎないように」 「へぇ」 私は追加で烏龍茶も頼む。仕方がないじゃないか、本来であればもう二度とお酒を飲めないくらいの失態だったのだから。 そんな事情をしらない森永さんは首を傾げていた。 椎名君の連絡先はもちろん知っている。同じ部署だから。もちろん森永さんだって香苗さんだって同じだ。 彼からの連絡を待ちながら先に乾杯をした。 「で、彼氏と別れちゃったの?」 「あぁ、そうなんですよ。なんか彼物凄くモテるから…嫉妬しちゃって…喧嘩多くて」 「ええ、森永さんだってモテるでしょう?」 「そりゃモテますよ。でも相手も同じくらい顔面偏差値高くないと好きになれないんです」 「そ、そうなんだ…」 謙遜など一切ない。でもそんなところも彼女らしくて好きだ。
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