二章

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とはいっても、好きじゃなくてもデートなどすることはまずない。何故ならデートをしてくれるような相手がいないからだ。 「あ、じゃあ…合コン行きます?今週末行かないかって友達から誘われてて。スペック高い男性ばかり来るらしいんですけど」 「行かない行かない!行ったことないし」 「ええ…そう言わずに!大丈夫ですよ、女性は私と飛鳥先輩と、それから大学の友達二人に…あとその友達の友達も来るって言ってました」 既に酔っている森永さんは頬を上気させながら指を折って人数を数えているがそこには私も含まれている。行くなど一言も言っていない。 と、テーブルに置かれたスマートフォンが鳴った。 椎名君かと思ったら母親だった。 「電話ですか?」 「ごめん、ちょっとだけ席外すね」 私は一度店を出て電話に出た。 「もしもし、飛鳥?」 普段通りの母親の声に嬉しさと同時に先日のメッセージのことを思い出し胸の奥がきゅうっと何かに掴まれたように痛む。 「どうしたの?」 「ごめんね、急に。実はお兄ちゃんが帰ってくるって言ったでしょう?よかったらお兄ちゃんたちと一緒に食事会をと思っていて」 「…うん」 「飛鳥はどう?」 「もちろん行くよ」 母親はよかった、と受話器口で安堵の息を溢した。私が断ると思っていたようだ。断ることなど絶対にないのに。 母親からのこの間のメッセージをみる限り私にも結婚をしてほしいと思っていることは確かだろう。相手すらいないのにどうしたって期待に応えることは出来ない。
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