二章

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「彼氏とかは?いないの?」 「あー、えっと…」 母親の声だけでどんな表情をしているのか頭の中に浮かんでくる。 期待に満ちたあの瞳で見つめられるとそれに応えられなければ母親を悲しませてしまうと、幼少期から思っていた。 「彼氏はいるよ。だから心配しないで」 「本当に?よかったわ~」 「うん。じゃあお兄ちゃんたちとの食事会決まったら教えてね」 母親と電話を切った後大きくため息を吐いた。 空を見上げると夜空に星が散らばっている。どれもしっかりと存在を主張している。綺麗なはずなのに見れば見るほど悲しくなるのはうそをついた罪悪感からか。それとも…―。 「お疲れ。何してんの」 「わ、椎名君…」 「連絡しても返ってこないから森永さんに電話して店聞いた。電話?」 「ごめん。うん、ちょっと電話…」 「ふぅん」 ちょうど椎名君と店の前で会ったから一緒に店内に入った。
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