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「お疲れ様でーす」
「森永さんちょっと飲みすぎじゃない?!」
「そんなに飲みすぎるなよ。俺送っていけないから」
「ええ、どうしてですか。椎名先輩なら送ってもらいたい」
「無理無理。一人で帰れ」
「冷たいな~」
一緒に個室へ戻ると既に泥酔している森永さんがいた。
森永さんは一体何杯目かわからないがビールジョッキを片手に力尽きて突っ伏している。
「ちょっと、森永さん!大丈夫?もうビールはダメだよ。お茶、お茶頼もう」
「いいでふ。ビールがいいんですぅ…失恋したばかりなんですよ!!付き合ってくださぁい」
「…付き合うけど、ビールはダメ!」
最初は向かい合うよう座っていたが私は森永さんの隣に移動して彼女からビールを取り上げた。
「椎名君、もう少ししたら解散しよう。それで…私森永さんの家知らないんだけど…知っているなら送っていってあげて?」
「はぁ?絶対無理」
「何でですか!!椎名先輩ならまぁ、付き合ってもいいかもしれないのにぃ」
「ほら、椎名君!森永さんもそう言ってるんだから」
「無理だっていってんだろ。俺だって家知らないから」
椎名君はとりあえずビールを頼み、私と森永さんを見ながら適当に残っているつまみを食べ始める。ジャケットを脱いだ彼を見るとどうしても“あの夜”を思い出してしまう。
「いいですよ。自分で帰れますから~」
「本当に?ていうか明日遅刻しないようにね」
「しません!飛鳥先輩も合コン行ってくださいよ」
「合コン?」
椎名君の箸が止まった。慌てふためく私はすぐに彼女の口を押える。
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