二章

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椎名君が合流してから一時間弱で解散となった。 「じゃあ、ちゃんと自分で帰るんだよ?住所は…?」 「わかってますって!一人で帰れますよ!じゃあ~ありがとうございました~」 完全に酔っぱらっている森永さんを無理やりタクシーに乗せて送る。 彼女を見送ってから椎名君と地下鉄に向かう。 私と椎名君の最寄り駅は二駅しか離れていない。独身者は皆会社近くに住むから近いのは仕方がない。 「今日は酔ってないんだな」 「酔わないよ。もうアルコールには気を付けるって決めたの」 「へぇ、そんなに失敗だって思ってるんだ?」 「失敗だって思わないでいられるようになりたいくらいだけどね!」 座席は空いていたから椎名君と隣り合うように座った。 椎名君も全く酔っていないようだった。 「そういえば、どうして今日来たの?森永さんのこと気になるの?」 「違うって。なんで森永さんになるんだよ」 「違うの?じゃあなんで?」 森永さんは顔面偏差値が高い男性が好きだと言っていたし、今日の様子では椎名君のことを恋愛対象としてみようと思えば見られるような気がする。 「飛鳥と飲みたかっただけ」 「私?どうして?」 腕を組みながら正面を見つめたまま、呟くようにそう言った椎名君に首を傾げながら彼の顔を覗き込む。 「秘密」 「秘密?」 「そう。ていうか、さっき誰と電話してたの?」 「お母さんだよ。お兄ちゃんがアメリカから帰ってくるから…食事会しようって」 秘密と言って強制的に話題を変える椎名君は電話の件について訊いてくる。
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