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 僕は、君のことが好きだった。  おそらくそれは単純な感情で、だけど真っ直ぐで決して折れない感情だった。僕はいつだって君のことを脳裏に描き続けていて、どんなときでも君の側にいたいと本気で願っていた。  だからこそ、君が真っ赤な花を咲かせたとき、僕の中に咲いていたはずの白い花が、しゅるりと萎んでしまったのだろう。  だけど心の底から喜ぶ君の笑顔を見てしまったとき、僕は「おめでとう」と祝福してしまったのだ。君に拍手をして、君を褒めて、君に幸せになってほしいと祈ってしまったのだ。僕の気持ちなど、始めから存在してなかったみたいに喜んだのだ。  たとえ月夜が愛しさを恵んだとしても、僕の心に植えられた花の蕾が再び開くことはない。その事実に目を伏せて、僕は君の愛を認めた。
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