候補者

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岸本隆史、年齢32歳、一人暮らしのサラリーマンだ。 地元の大学を卒業し東京の会社に就職、現在係長としてバリバリ仕事をこなしている。 「…ぷはぁ、仕事の後のビールは最高だな」 週末は飲みに行くのを楽しみにしている。 「岸本、今日はとことん飲むぞ!」 今日は同期の池田に誘われた。 「いいのか?カミさんに怒られても知らねぇぞ」 「ふははは、うちのは今実家に戻ってるから大丈夫だ」 池田は既婚者、愛妻家で知られている。 「遂に見限られたか?」 「バカ言うな、親の看病だよ」 「重い病気なのか?」 「交通事故で足を折ったらしい」 「お前は行かなくていいのか?」 「俺が行くと大袈裟になるから来なくていいってよ!」 池田はビールを一気に空けた。 「それでいじけて自棄酒か?」 「いじけてねぇし!」 岸本は笑いながら店員に次のビールを頼んだ。 「…お前は結婚しないのか?」 「うるせぇな、結婚したくても相手がいなきゃ出来ないだろ?」 話しはいつの間にか岸本の結婚話しになっていた。 「お前、入社した頃はモテてたろ?そこそこイケメンだし… そろそろ結婚して親を安心させたらどうだ?」 「そこそこってなんだよ!? 親からも結婚しろって言われてるよ… けどなあ、本当に結婚って良いものなのか?」 岸本の本音だ。 「まあ、それは人それぞれだな… 俺はあいつと一緒になれて良かったぜ」 「お前は彼女にベタ惚れだったからな 何度のろけ話しを聞かされた事か…」 池田とは同期と言う事で結婚する前から一緒に飲みに行ってる。 「あの頃はお前だって彼女自慢してただろ?」 「…お互い若かったって事だな」 二人は閉店まで飲み明かした。
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