10人が本棚に入れています
本棚に追加
登場
翌朝、岸本が起きると…。
「ふあぁ~…飲み過ぎたかな?」
「…水でも飲め」
「…ありがとう………?」
水を受け取り一口飲むと、岸本は二日酔いの頭をフル回転させた。
(…俺って一人暮らしだよな?
…誰?…空巣?…強盗?)
恐る恐る水を渡された方を見る。
そこには金髪で黒スーツの男がいた。
「だ、誰だ!お前!?
何で俺の部屋にいる!?」
「私はこういう者です」
黒スーツの男は名刺を出した。
「あっ、これはご丁寧に…」
名刺を両手で受け取る、サラリーマンの悲しい性だ。
『死神ゲオルグ』
名刺にはそう書かれていた。
(ゲオルグ?外人が何でここに?
死神…死神ってなんだっけ?)
「………!死神っ!?」
「今日は貴様に話し…」
「俺、死ぬのか!?なあ!俺を殺しに来たのか!?」
岸本はゲオルグの話しを遮って騒ぎ出した。
「いや、そうじゃ…」
「やっぱりそうなんだ!何で俺が死ななきゃならないんだ!?
昨日は飲み過ぎたけど、普段は暴飲暴食なんてしないし、毎日一万歩は歩いてるし、納豆やヨーグルトも食べてるし、今年の健康診断でもおかしい所はなかったんだ!
まだ結婚もしてないし、やりたいことが沢山あるのに死にたくない!」
「…言いたい事はそれだけか?」
ゲオルグは岸本に冷たい視線を投げた。
「嫌だ!嫌だ!!嫌だぁ!!!」
岸本は後退りしながら、枕や目覚まし時計など手当たり次第に投げつけた。
ゲオルグは軽くかわしながら…。
「貴様、死にたいのか?」
どこからともなく死神の鎌を出して、岸本の首元に突き付けた。
「ひえぇぇぇ!」
岸本はそのまま気絶してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!