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虫の知らせ
「あらら…、また気絶させちゃいましたね」
そこに天使長レイノルズが現れた。
「ふん…情けない男だ」
「時間を止めてますからいいですけど、ゲオルグ様に鎌を突き付けられたら、普通の人間は気絶すると言いましたよね?」
レイノルズは冷ややかな視線をゲオルグに向ける。
「ふん…さっさと起こしてやれ」
レイノルズはやれやれと言う態度で岸本を起こした。
「大丈夫ですか?」
「あ、あ、あ、あんたも死神かっ!?」
「私はこういう者です」
レイノルズは名刺を出した。
「…どうも、ご丁寧に…」
岸本は両手で名刺を受け取る。
こんな時でもサラリーマン魂は優先する様だ。
『天使長レイノルズ』
「…天使長?…天使?」
(天使がいるって事は…死んだのか?俺は?
…でも、ここは俺の部屋だよな)
「岸本さん、ゲオルグ様の話しを聞いて頂けますか?」
「…そうだ!死神だ!
あんた天使だろ!?そこの死神どうにかしてくれ!
俺はまだ死にたくないし、死ぬつもりもない!」
岸本はレイノルズの胸ぐらを掴んで揺さぶった。
レイノルズは岸本の両腕を掴むと…。
「いい加減にしないと、私が殺しますよ」
囁くように言った。
「…す、すいません」
やっと静かになった。
「ゲオルグ様、どうぞ…」
レイノルズは一歩下がってゲオルグの後ろに付いた。
「私は貴様を迎えに来た訳じゃない
人間の間では『虫の知らせ』と言われる事があるだろう?
…だから貴様に知らせに来たのだ」
「…虫の知らせって…!俺の家族が死ぬのか!?」
岸本はゲオルグに掴み掛かろうとしたが躊躇した。
ゲオルグはまだ鎌を握っていたからだ。
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