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しかし、
「あたしぃ」
その瞬間、ツボミが声をあげた。
「覚えてる。あたし、そのポチって人のこと覚えてるんだよ」
――!
以外な言葉に玉村とシンが動きを止める。
同時に振り返る。
ツボミは、
「あたし覚えてる。小せぇ頃、ずっと一緒にいてくれた人。あたしの名前を呼ぶ声もあたしを抱き上げる大きな手もちゃんと覚えてる。
あの人が、あたしの本当のパパだったんだな」
「……まさか」
玉村が声を絞り出す。
「あの頃のツボミは、まだ1歳ちょっとだ。覚えてるわけがない」
「覚えてるよ、忘れるわけねーじゃん」
ツボミは乱暴に涙を拭う。
「覚えててもあれが誰なのかわからなくて、ずっとモヤモヤしてたんだ。写真も残ってねーしさ。
でもやっとわかった。思い出したんだ。あの人がみんなからポチって呼ばれていたこと。いつも一番傍にいて、あたしを可愛がってくれたこと。それから……」
シンに顔を向けた。
「パパともずっと一緒だっただろ。ポチはパパの仲間じゃないか。
――それに玉村のオジサン」
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