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ツボミは、
「あの暗闇の中で何が起こってたかなんて、正直あたしの記憶には残っていない。真っ暗で本当に何も見えなかったんだ」
それは、山田たちも体験しているからわかる。
自分の指先も見えないほどの闇の中、訓練した人間でもなければ、視界はゼロだ。
ツボミは、
「でもポチの『みんなを信じて』って言葉にウソはないだろ。だからあたしは何も怖くない」
玉村はツボミから目を離せない。
「オジサン」
ツボミは玉村のベッド脇で膝を折ってしゃがんだ。
「あたしの目を見て、本当のことを言ってくれ」
「……本当のこと?」
「うん。オジサンは本当に、あたしを傷つけたかったのか?」
玉村は目を見開いた。
そしてやがて、
「本当はオレがポチを殺したんだ」
玉村は絞り出すように告げた。
「ポチはオレを庇って死んだ。ポチはオレのせいで死んだんだ。だからポチの代わりにツボミを守るのはオレだったのに、出来なかった」
「出来なかった?」
玉村の矛盾する言葉に、ツボミは自分の全身を確認する。
「あたし、別にどっこも怪我してねーぜ。ずっと守ってもらってるよ」
ニカッと笑うが、
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