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もしも見ているのなら……。
自分が、どうするのかなんてわからない。
だけど、疑問を疑問のままで置いておけないのがツボミだ。
そしてツボミは、ストレートに聞くしか能がない。
すると、
「はっはっは!」
玉村は大口を開けて笑った。
あまりの大声に、周りの客がギョッとしたくらいだ。
「ちょ、ちょっと――」
焦るツボミに玉村は自分の口を塞いで、
「悪い悪い。まさかツボミがそんなことを言うなんて思ってもみなくてね」
まだ肩を揺らせて笑っている。
「それに珍しい。気遣いを見た」
「気遣いって……」
ふくれるツボミに、笑いを抑えた玉村は、
「いやー、ツボミも成長したもんだ」
「しみじみ言うなよ。オッサンくさいぞ」
「オジサンだろ。オレは」
「……そう、だけど」
まるで優子とのやり取りを見てきたかのような玉村に、ツボミは心臓がドキドキする。
小さい頃からずっと一緒なせいか、玉村はツボミのことなんて、すべてお見通しじゃないかと思うことがある。
何もかもバレバレ。
そんなツボミの思考も読んだのか、玉村は、
「遅れたけれど、これは高校入学のお祝いのつもりだから」
「高校の、入学祝い?」
「ああ。ツボミも高校生、もう立派な大人の女性なんだって、この間のドレス姿を見て思ったからね」
「ドレス姿ぁ?」
聞き返すツボミに、
「着ただろう。船に乗った時」
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