デート

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確かにドレスを着て豪華客船に乗ったが、その事実を玉村に話した記憶は、ない。 「……」 とすると、 「3バカか――」 小さくごちる。 テーブルの下で拳を固く握った。 次に会ったときには、一発殴ってやる必要がありそうだ。 船に乗った時、一緒にいたのは小林だ。 乗船の手引きをしてくれたのが山田と田中。 この3バカトリオは、ツボミの父親の信芳に心酔しているから、ずっと内緒になんかしておけるはずがなかった。 そして目の前に座る玉村は、信芳の友人。 話が伝わっていないわけがない。 「このこと、パパも知ってるのか?」 恐る恐る聞くと、玉村はにこやかにうなずく。 「当然だよ。オレはシンさんから写真を見せてもらったんだ」 やっぱり! と思うと同時に、 「写真? いつの間に撮ったんだ?」 ツボミは飛び上がったが、玉村は当り前の顔で携帯を見せてくれる。 そこには、豪華客船のパーティルームに立つツボミの姿。 「――!」 絶句するツボミだが、真正面から撮った着飾った姿は、タイミングや角度的に小林が撮影したとしか思えない。 そうでなければ不可能だ。 だけど本当に、いつの間に……。
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