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ツボミは大混乱だが、玉村は改めて写真を見直し、ほうとため息をつく。
「綺麗だよね。オレも改めて、ツボミはいっぱしのレディなんだと認識を変えなくちゃならなかったよ」
頬をうっすらと染め、宝物を愛おしむ眼差しで写真を眺める玉村に、ツツーッと冷たい汗が背中を伝う。
こんな玉村の顔、初めて見た。
ツボミは慌てて視線を剥がし、
「パパは、このこと何て言ってたんだ?」
「ん?」
「……ドレスの写真。パパも見たんだろ」
玉村は、
「シンさんからは、特別何も聞いてないよ」
「……そうかよ」
とたん、イライラしてきた。
「ねぇツボミ」
ツボミが気分を害したことには気づかないのか、玉村は相変わらず写真を眺めながら、
「こんな一人前のレディに、いつまでもサンタブーツのプレゼントじゃダメだとやっと気づいたよ」
「え?」
腹をたてていたせいで、何を言われているのか、すぐにはピンと来なかった。
「サンタブーツ?」
玉村は、
「そう毎年ツボミにあげていただろう」
「あ、クリスマスか!」
やっと思い出した。
まだ12月に入ったばかりだが、ところによってはイルミネーションが始まっている。
「あ、そうかぁ、これ全部クリスマスプレゼントだったのか」
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