変化

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変化

パンを買うために財布を出すツボミはウキウキ顔である。 「どうしたのそれ」 目ざとい優子がさっそく見つけた。 「ステラマッカートニーじゃない。いつから自然主義者になったのよ?」 「自然主義者?」 よく意味がわかっていないツボミが目をパチクリさせると、優子はツンツンとツボミが持っていた財布とそれから手首に光る腕時計を指さした。 「こっちはヴィヴィアン・ウエストウッド。ツボミらしいっちゃらしいけど、どこの男に貢がせたの?」 ニヤリと笑う優子に、 「貢がせたなんて、そんなわけないだろう」 ツボミは照れ隠しなのか、バンバンと優子の背を乱暴に叩いた。 「玉村のオジサンだよ。オジサンに買ってもらったんだ」 「へーぇ、玉村のねぇ」 優子はオジサンの単語に妙なアクセントを乗せて、瞳を意味ありげに歪ませた。 そんな優子の態度にツボミは気づかずに、 「今日の夜は、飯を食いに行く約束もしてんだ」 うれしそうに続ける。 優子は、 「それ、もろ貢がせてんじゃん」 呆れたとため息を吐き、 「そんなことしてパパが怒らないの?」
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