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「オマエって本当にわかりやすいよな。考えてることが目に見えるようだよ。じゃ、教えてやるよ。あのなあ…」
試合中には大門寺の選手たちはお守りを身につけてはいなかったそうだ。だからアンダーヘアのご利益があったわけではない。そんなものにご利益などあろうはずがない。
勝つには実力だ。そして精神力だ。実力がなければ試合には勝てない。だから大門寺の選手たちは朝錬は早朝6時から、放課後は午後10時まで練習した。もちろん指導したのはキャプテンの春澤さんだ。ある日、これは勝てるぞ、と確信を持てるようになったと言う。体力と技術はここまでが精いっぱいだ。あとは精神的な支えだ。それは立派な大義名分を立てることとは違う。あとでみんなで「あんなくだらないことでも俺たち一生懸命だったよな」と笑い飛ばしてしまえるようなものがいい。――春澤さんはそう思ったと言う。
「それが処女のアンダーヘアだったんですね!」
僕は膝を打った。
「そうだよ。一勝するごとに正真正銘の処女のアンダーヘアを一本ずつ分けてやるって約束したんだ。その結果があれだよ。アハハ、男ってかわいいよなあ! うちは童貞が多かったからなあ!」
一勝ごとに全員に一本ずつとすると、かなりの本数が必要になる。
「オレの趣味だったんだ」
「え、ヘア集めが春澤さんの趣味だったんですか⁉」
おいおい、そんな大きい声出すなよ、寮中に聞こええるじゃないか、と春澤さんは僕にピーナツを投げてきた。
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