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「カノジョとデートするたびにな、オケケを何本かずつ抜いてたんだ。それがいつのまに100本を越えてた」
「ひゃ、100本ですか。そんなに抜いたら彼女のアソコ、禿げちゃうでしょ!」
「いや、彼女、アソコだけは毛深くてねえ。それに高校生は若い。抜いても抜いても生えて来る。あ、そうだ。まだたくさん余ってるからお前にもやる。遠慮するなよ。最近またそのコとつきあいだしてね。いくらでも抜けるからいいんだよ。もっとも、処女は捨てたらしいんだけど…」
――処女は捨てたらしい。
そのフレーズに春澤さんはなぜか微妙なアクセントをつけた。それを感じ取れるのは恋の痛みを知っている男だけだ。
――この人も喪失したんだ。
と思った。僕はこの時春澤さんの瞳の中に激しく動く、それでいて氷のように冷たい感情を読み取った。怨みだろうか。嫉妬だろうか。そしてそれは誰に向けられたものなのだろうか。
春澤さんの背後に真っ暗なオーラが立ち込めてきた。恐ろしくもあった。僕がここで何か言わなくて…。
「そのコ、ずっと春澤さんのこと好きだったんですよ。でも、春澤さんの立派なものを迎え入れるには狭すぎた。それで彼女なりに機転を利かせてアレのちっちゃな男を使ったんじゃないですか? 健気じゃないですか。許してやってくださいよ」
酔った勢いで、オレからもお願いします、と頭を下げた。
春澤さんは苦笑いをした。
しばらくして…。
「成沢、オマエのことが気に入ったから言うんだけどさあ、オレ、けっこう変態なんだ」
「え? 春澤さんがですか?」
話題の転換が、あまりにも意外な方向を指し示したから、僕は戸惑ってしまった。
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