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スマホをタップし通話を終了した。すかさずパソコンにつながったスピーカーのスイッチを入れる。
「誰からなんだよ」
明らかに春澤さんだと分かる声が漏れて来る。再び映像が揺れ、隅から逞しい男の胸が現れる。春澤さんがベッドの背もたれに寄りかかったのだろう。クマちゃんからの至近距離だからからだの全体は収まらない。
「元サッカー部の子。デートしないかって」
「アイツだな? 成沢。けっ!男にアンダーヘア抜かれてよがってる女にまだ未練たらたらなのかよ!」
「私、よがってなんかいないから!」
筋肉質の男の腕が力いっぱい何かを引き寄せる。ズズズとベッドの上で何かがこすれる音。モニター上にいきなりAの形に曲がった女の膝が現れる。僕は身を乗り出して見入る。さらに奥の方にもう一本の膝が現れる。どうやら加奈子が膝を開き、男に秘部を突き出しているようだ。
「だいぶ形が整ってきたぜ。オマエのクマちゃんにもよく見てもらえ。ほら!」
画面が大きくかしぎ、部屋が回転した。映像が焦点を失いぼやける。だが次の瞬間、テレビカメラは焦点を回復し鮮明な映像を描く。
クマちゃんの目は加奈子のアンダーヘアを捉えていた。それは僕が知っている自然のままのもっさりとした、ゴワゴワの、野性味を帯びた茂みではなかった。日の光にさらされたことのない、乳白色の、こんもりと盛り上がった恥丘を、貴婦人用の高級扇子が優しく覆っているような趣だった。その質感と透明感は、芸術の域に達しているのではないかとさえ思われるのであった。
――美しい。
知らず知らずのうちに僕は、加奈子のきれいにトリミングされたアンダーヘアに見惚れ、嘆息をもらしていた。
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