あとがき

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あとがき

 子供時代から私はスーパーヒーローの苦しむ姿を見るのが大好きという、いささか変わった性癖の持ち主でした。  大きな力を持つ者には、必ずそれ相応の大きな悩みや苦労があるはず・・いや、そうでないと不公平ではないか!それが私の人生哲学、というか持論みたいなものだからです。  そしてそんな私の拘りが大きく反映されている作品、それがこの『インビジブル・ハンド』です。  主人公の光太郎は争い事を好まない、いたって優しい少年です。そんな彼が望まずして恐ろしい能力に目覚めてしまうわけですが、苦しみながらも周りの人達に支えられて立ち上がり、最後は自らの意思で運命と戦う決意をする、その過程を温かく見守って頂けたなら、作者としてこんなに嬉しいことはありません。  現実世界の住人である私達もまた、誰もが望む環境に生まれ、なりたい自分になれるわけではありません。人生とは本来不条理なものなのです。それに気付いた時、人はそれに身を任せるか闘うかをまず選ばなくてはならず、 そこに一つのドラマが生まれるのだと思います。  そしてまたどんな形であれ、闘うことから目を背けず困難に立ち向かっていく人達に私は心からの賛辞を惜しみません。  昨今はいろいろと暗いニュースがあふれていて、何気ない平和な日常の有難さがひしひしと痛感させられる今日この頃です。そういう気持ちが影響して、この物語の最後は平和な日常の部活風景で幕を閉じさせて頂きました。  少しずつでも、世の中が良くなっていくことを祈りつつ。                      2022年4月11日 石上彪
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