11人が本棚に入れています
本棚に追加
導かれるまま、梅園の奥にある東屋に、リヨンは、男と共に腰掛けている……。
そろいの衣を纏う女達が出迎えてくれていた。
様子からして男の僕のようである。ということは、良家の子息に違いない。
いったいどこでどう用意しているのか、てきぱきと女達は茶を準備して、にこりと微笑み、リヨンに差し出してきた。
その優美な身のこなしに、少しばかり圧倒されて、リヨンはただうつむいている。
「さあ、どうぞ遠慮なさらずに」
いつの間にか、せわしく動いていた女達の姿は消え、東屋には、男と二人きりになっていた。
男の柔らかな物腰が、咲き乱ている梅花のごとく、ふんわりとした安らぎをリヨンに与えてくれた。
こくんとうなずき、リヨンは茶器を口に運んだ。
最初のコメントを投稿しよう!