きっかけは落とし物

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次は~ シャルロット女子高校前~、シャルロット女子高校前~ 運転手がそうアナウンスをしたあと ピンポーン 停車ボタンの音が鳴った。 彼女が降りる準備をしているとバスはゆっくりとスピードを落とし バス停に到着した。 (今日も話せずに終わった... いや話しかけて、ナンパだと思われてもうこのバスに乗ってこなくなったら...) バスの降り口である前頭部に彼女が向かっていると 鞄から 何か が落ちるのが見えた。 僕は落ちたものに近づき、手に取った。 それは彼女の生徒手帳だった。 咄嗟に僕は 「あのっ!」 と声をかけたが、彼女には聞こえず、バスから降りて 扉は閉まってしまった。 ああ...と思ったが、まあ明日の朝も会えるだろうし、明日渡せれば いいかと僕は再び席についた。 拾った生徒手帳を開いてみた。 彼女の顔写真と名前が記されていた。 --北川久実-- それが彼女の名前だった。 学年は僕の一つ上の二年生。 今まで会ったことはないし、初めて見る名前のはずなのに なぜだか僕のなかに懐かしい感情がこみあげてきた。 (これをきっかけに彼女と話すことができるかもしれない...) その日の授業は全く頭に入ってこなかった。 ただ、これをきっかけにどんな話をしようか そんなことばかり考えていた。 (そのせいで、先生に注意されてしまったけど...) 帰宅後も上の空で家族に 「具合悪い?」 と心配されるほどだった。 (寝坊しないように早めに寝よう) そう思い、もう一度生徒手帳が鞄に入ってることを確認して 眠りについた。
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