第一話:【海へドライブ】彼女が話たはなし

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第一話:【海へドライブ】彼女が話たはなし

「緊張する。ドキドキしてるもん」 二人車の中、彼女は胸に手を当てながらそう言った。 しばらくの沈黙の後、彼女は口を開いた。 「本当は付き合ってるときにこう言うデートしてみたかったんだよね」 そう言うと彼女は彼の顔を見て続けた。 「でもこう言うの嫌いなのかなって思って……。 遊園地とか動物園とか水族館とか一緒に行ってみたかったなぁ~」と照れ笑いをする。 「そっか…」と素っ気なく、彼。 またしばらくの沈黙の後にキラキラと光る海の景色が見えてきた。海が見えてくると彼女はある話をしだした…。 ad6e191e-6957-4d42-9426-8fd73e1ba932 「実はさ新卒で入った保育園1ヶ月で辞めちゃったんだよね。まぁ、アルバイト含めると2ヶ月だけど……」 「…うん、」 「凄く辛くて、毎日泣いてて、家の窓から飛び下りようって何回も考えてた。そしたら怪我して仕事いかなくて済むかなって(汗) あと下り坂の急カーブのところでブレーキギリギリまで踏まなかったりとか、反対車線に飛び出したら死ねるかな、とか……」 彼女の声と音楽だけが鳴り響く…。彼女はチラッと彼の横顔を見て続けた。 「それで、もう限界!ってなってお母さんに泣きついたんだよね笑 もう行けない!ってそれで今話したことも全部お母さんに話して、そしたら死にたくなるくらいなら辞めたほうがいい!って言って辞めさせてくれて笑…」 こんな話をすると彼は車を停めこちらを向き 「……菜々…」 「ん?」 「辛かったな、ごめんな」 95d7c27f-a15d-4cd8-a5ef-3d57c88d7502 彼は何とも言えないようなそんな顔で言った。
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