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男の澄んだ瞳で見つめられると、ケイの胸は高鳴った。 なんだか、言葉にならない奇妙な気持ちになって、息ができない。 確か、麒麟とは高貴な生き物。王侯貴族が、神官の特別な祈祷を受け、始めて拝顔できる聖獣と聞いている。 ケイなど、どう転んでも会える立場ではない。だから、息も詰まるのだろう。 とにかく、恐れ多い話なのだ。できる限りのお世話をしなければ……。 思いを巡らしつつ、下草をかきわけ、細く伸びるわき道に入っていく。 沢が見えた。 ケイは、腰に下げた水入れに、冷えた水を汲んだ。
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