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さて、ジンには前にいる娘、ケイが、なぜ、そわそわと、落ち着かないのかがわからない。 もしや、ケイの落ち着きのなさは、いばらか何かで傷ついた足が痛むせいなのかも──。ジンには、矢傷を手当てしてもらった恩がある。 「気がついているか?」 向けられる視線を追って、ケイは自分の足を見た。 「ああ……薬草を摘んだ時に、何かの(とげ)で傷つけたのでしょう」 ケイの軽い口調に、そうではなかったのかと、ジンは、安堵したが、その時、はたと気がつく。 ここからは、空は眺められないが、日の入りを迎えている。流れる空気が教えてくれた。 (ああ、しまった。早く帰さねば。) たから、ケイは、落ち着きが無かったのだとジンは納得した。
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