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麒麟は、慈悲深い生き物。心根の優しい獣――。 自分の為に、傷を負った。さらに、悲しい身の上を事もなげに言う娘の姿。 ジンの霊獣の本性がうずき始めた。 「こちらに来なさい」 言われて、ケイは身構えた。 前にいるのは仰向けになり、ゆったりと体を横たえる男。麒麟とはいえ、男である。 ケイは、手を内着の合わせに添えて、無意識のうちに、乙女の貞節を守ろうとした。
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