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ケイの心の中に、恐ろしく深い闇が迫ってきた。
襲い来る冷たい闇に、飲み込まれてしまうのが恐ろしくなり、ケイはとっさに、目の前にある広い胸にしがみつく。
「どうした?」
自分の胸にすがる娘を抱きしめてやるべきか。
ただ小さくなるだけのケイを見てジンは固まってしまう。
ケイを抱きしめる理由はない。
慈悲をかけただけ。
(そうか、今、この娘は女の性に目覚めてしまった。押さえ込んでいた、寂しさに襲われて……。)
「私の側にいたいのか?」
ジンの言葉に、はらはらと涙を流すケイがいた。
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