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「私はね、聖人の気配を感じて降りてきた。だが、出会ったのは、王が引く弓。麒麟に毒矢を向ける王など、どこが聖人だろう。王は私を捕まえて、自分の権威の象徴にしようとしたんだ。私は命からがら空に逃げた。だが、痛みがひどくてね。ここに降り立った。確かに、下界から、木漏れ日のような甘やかな、聖人の香りがしたのに。おかしなこともあるだろう?」 ひどい話だと、ケイは矢を受けたジンの足に目を向ける。 「心配はいらない。だけど、お前は私のために、薬草を探して傷ついた。すまないと思う……」 言葉を濁すジンに、ケイは愕然とした。 この優しさは、単なる慈悲――。 (そう、私なんか、相手にされるわけがない。みすぼらしい男物の衣を着ている娘への哀れみを……それを……。私は……。) 今まで一人でやってきた。しっかり、やってきたのに、何で甘えた思いを出してしまったのだろう。
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