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岩肌にしがみつくように伸びる道を行く。
慣れた山道も、こう霞んでいては、さすがに歩みが鈍くなる。
……コロコロコロ……。
小石が崩れ、追って、どさりと何かが落ちた。
(小鹿かしら?足をすべらせたのかな……)
霧の中で、何か塊が蠢いている。よくよく見ると、獣がうずくまっていた。
小鹿のように見えるが、何か異なる。
……頭に真珠色に輝く一本の角が……。艶やかに輝く鋼色の体。
ケイは目を疑った。
(まさか。麒麟?!)
寝物語りで聞いた、あの生き物に、出会ってしまったのだろうか。
それも、こんなところで?
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