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獣は息を潜め、うずくまったままだった。 「どうしたの?怪我したの?」 ケイは、戸惑いながらも、声をかけた。 見れば、足に矢を受けている。 「……離れろ」 ケイの問いに、獣が喉を震わせた。 低く、それでいて、清水(しみず)のように透き通る声。確かに、人の言葉を、獣が発した。 「言葉、喋るの!!」 ケイは驚きを隠せない。見たこともない獣。さらに、人と同じように言葉を喋った。 足がすくんで、立ち尽くんでしまう。そんな彼女を、獣は呆れ見て、再び冷たく言い放つ。 「邪魔だ」
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