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「毒矢だ。急ぐ」 男は、クッと荒い息を吐き、矢を抜こうとする。 とたんに、耳を覆いたくなるほどの、うめき声がこだました。 あまりの声に、ケイは思わずその場にへたりこんでしまった。 「……娘……力を……かせ」 ゼイゼイと肩で息をする男。額には脂汗がにじんでいる。 見る見るうちに、全身から玉のような汗が噴き出し、男の息はさらに荒くなる。 「ど、どうすれば」 「矢を……」 言葉を発することも苦痛らしく、息も絶え絶えでケイに指示を送ってくる。 (きっと、毒が周り始めているんだ!) ケイは、コクンと(うなず)いた。
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