18人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「毒矢だ。急ぐ」
男は、クッと荒い息を吐き、矢を抜こうとする。
とたんに、耳を覆いたくなるほどの、うめき声がこだました。
あまりの声に、ケイは思わずその場にへたりこんでしまった。
「……娘……力を……かせ」
ゼイゼイと肩で息をする男。額には脂汗がにじんでいる。
見る見るうちに、全身から玉のような汗が噴き出し、男の息はさらに荒くなる。
「ど、どうすれば」
「矢を……」
言葉を発することも苦痛らしく、息も絶え絶えでケイに指示を送ってくる。
(きっと、毒が周り始めているんだ!)
ケイは、コクンと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!