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手には、男の血のにじんだ矢……。 ケイの足は震えた。 自分の手の内に毒矢がある。 とたんに恐ろしくなり、谷へ矢を投げ捨てた。 それでも、がくがくと膝は震え続けて、ケイは立っていることさえおぼつかない。 男は、何事もなかったように息を整えていたが、矢を抜いたあとからは、じわりじわりと血がにじみ出て、足が赤く染まり始めていた。 (いけない!止血しないと!) ケイは、慌てて懐から手ぬぐいをとりだすと、傷口をしっかりと縛った。 ぎゅっと結んだとたん、男は体を揺らして小さな呻きをあげた。
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