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橋姫
時は嵯峨天皇の御世。
女に夫を寝取られた公卿の娘が、京都の貴船神社に籠もった。
そして、「私を生きたまま鬼に変えて下さい。妬ましい女を取り殺したいのです」と祈った。
可哀想に思った神様は、
「本当に鬼になりたいのなら、姿を変えた上で、宇治川に21日間浸れ」と告げた。
女は都に帰ると、
五つに髪を分けて五本の角を作り、
顔や身体を朱や丹で真っ赤に染め、
鉄輪を逆さにして頭にのせ、その3本の脚に燃えた松明を挿した。
そして両端を燃やした松明を口にくわえた。
その姿で宇治川に21日間浸ると、本当に生きながらの鬼となった。
彼女こそ、後に縁切りの神として崇められる鬼女「橋姫」である。
橋姫は、まず、寝取った女と元夫を取り殺した。
が、それだけに留まらす、双方の親類縁者もろとも、殺していった。
それでも彼女の憎悪は果てず、とある武士に成敗されるまで、橋姫は、誰彼構わず、殺し続けた。
そんな彼女の御霊を鎮めるための神社が、京の外れ、宇治にある。
神社の名は、橋宮神社。
嫉妬深いとされる彼女の力にあやかり、誰かとの縁切りを願う人間が、今日もこっそり、訪れる。
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