ささやかな変化

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南が転校してきて何日か経ったが、あれからも諏訪は南になにかと声を掛けていて、今では俺達のグループにも馴染み始めている。 昼休みとなった今も教室の中心で机を寄せて、そこにはちゃっかり南もいた。 南とここ数日話してみて分かったことは、とにかく良い奴だということだ。 いつも笑顔を絶やさず穏やかだし、物腰も柔らかい。 何か言われても嫌な顔一つせず、それなりに冗談を交えてノリ良く返してくるため、グループの他の奴らも気に入っているようだった。 ───何も欠点がない。 それなのに俺は「なんとなく」南が気に入らない。 理由など存在しない理不尽な感情を表に出すようなこともできず、俺は少しだけ距離を置いてみんなを見守っていた。 「じゃあ土曜は駅前集合な。...旭、ほんとに来ないのかよ」 「え、ああ。ごめん、その日予定あるし俺はパスで。みんなで楽しんできてよ」 「景広の件なら別に来週でも良いと思うけどな。まあいいや、南くん迷ったらすぐ俺に連絡ちょうだいね」 「はは、さすがに最寄り駅までは迷わないよ。でもありがとう」 諏訪は少し不満そうに俺にそう尋ねてくるが、それもすぐに南へと話題が移る。 ヒロのこと大切じゃないのかよと内心思いつつも、俺はそれを諏訪に伝えることもなく、日常が少しずつ変わっていくことにぼんやりと身を任せた。
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