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待ちに待った週末。今日はヒロの誕生日だ。
ヒロと俺は家が近いため、とりあえず家に行く前に最寄り駅に諏訪を迎えに行く。
「諏訪」
「よ!ごめん待たせた」
「いいよ大して待ってない。そしたら行こっか」
諏訪は遅刻癖がいまだに抜けない様で、今日も10分ほど遅れて改札を抜けてきた。
時間守れよと今まで何度か注意はしたものの本人はそこまで重く受け止めていないようで、俺なんかがそんなことしたらすぐに嫌われるのに諏訪は凄いよなと意味のわからない尊敬の念を抱く。
「てか昨日誕プレ買えた?」
「...あー..」
ヒロの家に向かう途中、なんとなく気になったことを尋ねてみれば諏訪は気まずそうに目を逸らすので、その反応に俺は少しだけムッとする。
「昨日休みだったからてっきり買いに行ったのかと思った。何してたの」
「いや...昨日ちょっと康平と遊んでて。気付いたら夜だったからまあいっかなって」
「まあいっかって...ヒロは優しいから何も言わないと思うけど、流石にそれはないでしょ」
諏訪は面倒見が良く人から慕われることも多いが、いつも楽しいこと優先で大事なことを忘れたりするからこうして呆れることが多々ある。
「...俺が買ったやつ、諏訪と一緒に選んだってことにしよう。くれぐれも誕プレ買い忘れたとかヒロに言わないでね」
「うわまじ、助かる〜。さすが旭!金は出すからそうしてくれ!」
「そういう問題じゃないから。お金もいらない。とりあえず早く行こ」
相変わらず調子の良い諏訪に、俺は内心ため息をつく。
しかしそれもなるべく表には出さない様にして、早くヒロに会いたいなと足早に歩みを進めた。
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