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「帰ろう、小さなウサギ。」
一羽のウサギが言いました。
「帰ろう、私たちの家へ。また来ることはきっと出来る。みんなで力を合わせればね。」
別のウサギも言いました。
みんな小さなウサギを優しく見守っています。
小さなウサギは月にたずねます。
「お月様、もうさびしくはありませんか?」
小さなウサギの言葉に、月は優しく言いました。
「もうさびしくないよ。ありがとう、小さなウサギさん、そしてウサギさんたち。次の満月になればもっと光を伸ばして階段を作る。そうしたら、またみんなで遊びに来てくれるかい?」
星たちも言いました。
「ぼくたちもまた、お月様のそばにいます。またきてください、ウサギさんたち。」
小さなウサギは月がひとりぼっちではなくなったことに安心して、涙を数つぶ落とすとそれをふき、笑ってあいさつをしました。
「ではお月様、お星様、お月様が次にまんまるになった頃に、私はみんなでまたここに来ます。それまで、お月様、お星様はお空、私は丘の上でお話をしましょう!」
ウサギたちは月の光の階段を下り、星たちのはしごを下って、最後は月がくれたふわふわな雲を足台代わりにして元の丘に帰ってきました。
ウサギたちはみんな、眠る前のあいさつをしてそれぞれの家へ帰っていきます。
「お月様、聞こえますか?今日は本当にありがとうございました。またみんなでそちらに行きます!明日もまた良かったら少しお話をしましょう。おやすみなさい。」
すでにのぼり始めた日の照らす空。
それとは反対側に向かう月に、小さなウサギは笑ってそうあいさつをすると、草の茂る自分の家へと帰っていきました。
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