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「和泉さん……大丈夫っすか? 」
最近、和泉さんは様子がおかしい。バッキバキに目が冴えて瞳孔が開いている時と、死の間際の病人みたいな時。
「和泉さん……最近ちょっとやり過ぎじゃないですか? やべえっすよ。一応、うちじゃ薬は……」
「大丈夫だって」
今日の和泉さんは死の間際の病人……と言うよりは死神に取り憑かれた男だろうか。
「ちょっと眠れば平気」
和泉さんはソファーで横になる。
「家まで送って行きますよ。少し眠らないと……」
「……うん」
俺は和泉さんに肩を貸して、車まで運ぶ。意識はある様で半分眠っている。
和泉さんが囲う女は正直ろくな女がいない。
見た目は良いが、病んでる女、キメセク好きな女、男がいなきゃ生きていけない女、男ならすぐ股を開く女。
一度殴られることを承知で聞いてみた。
「何でもうちっと頭の良い女作らないんすか? 」
「馬鹿な女の方が楽しいだろ」
そう言って笑った。
それにしたってもっとマシな女が居るだろう。
「……俺が居なくても生きていけるような女がいい」
和泉さんは少し寂しそうに頬を緩め、遠くを見ながら言い直した。
それは姐さんに対してなのか。それとも姐さんがいるから依存されたくないのか。
それ以上は聞けなかった。
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