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「そういえば、そろそろ姐さんの誕生日っすね」
俺はバックミラー越しに尋ねた。コカインの興奮状態から解放され、糸が切れたように和泉さんはぐったりとしていてる。
「……そうだな。さすがに祝ってやんねーと俺ちんこ切られちゃうかも」
和泉さんは外の灯りが眩しそうで、腕で顔と下半身を隠す。
「……最近ちっと遊び過ぎっすからね」
シャレにならない下半身の痛みが想像できて、俺も少し下半身に冷や汗をかく。
「あいつももう20代最後か。年取ったなぁ」
「いやいや。クラブのママん中じゃ若いっすよ」
俺は思わずツッコミを入れる。
「……もう10歳か」
和泉さんが呟くように言葉を発して、そのまま目を閉じた。
10歳?! 隠し子か?
尋ねたくても、和泉さんはもう寝ていて恐らく起きた時には記憶もないだろう。
もし本当に隠し子がいるならば、隠されていた方がマシだろうと思った。
ヤクザの子供に産まれて、まともな道を生きている人間は俺は知らない。
姐さんとの子供なら、施設にでも居るのだろうか。少しだけ見てみたいと思った。
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