年越師匠

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「いやいや、先生、それは困りますよ。先生が年末にって予定を変更された原稿ですよ」 白井さんは今年一番の慌てようでした。 私は白井さんを宥めようと立ち上がったのですが、白井さんは私を制すかのように掌を見せられました。 「こんな事なら、この仕事は要君に頼みますよ」 え…。 ちょっと待って下さい。 私が今から原稿を書く事になるのでしょうか…。 「白井君がそうしたいなら、要君に譲っても良いが…」 先生は美味しそうに珈琲をすすられます。 「そうですか。わかりました。では要君に頼みます」 白井さんも引くに引けない様です。 が、しかし、これで困るのは私です。 「ちょ、ちょっと待って下さい」 私は食卓に手を突いて、声を張りました。
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