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先生は咳払いをして、白井さんに、
「白井君には、私の部屋の原稿用紙の整理をお願いしたい。不要な原稿を捨ててまとめて欲しいのだが」
白井さんはあからさまに怪訝な顔をされ、
「今からですか…」
と仰います。
無理もありません、先生が一年間書いて、書き損じなどの原稿用紙を山と積んでおられるのです。
それを一枚一枚見ながら選別するのは、到底今日中には無理な話です。
と、いう事は年内に終わるモノではないという事になります。
勿論、毎年整理して希世さんの焚き付け用の紙になるモノなので、その中に必要な原稿が混ざっている事は無い筈なのですが。
「私もお手伝い致しますわ」
と希世さんが珈琲を持って食堂へ入って来られました。
一瞬で白井さんの顔が明るくなりました。
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