第5章 気持ち

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「それでも……私はお兄さんの事が好きです。今はまだ…恋愛としての好きなのか、家族としての好きなのか…はっきりとは分かりませんが、私がお兄さんに抱くこの気持ちは特別だという事に変わりはありません」 私はお兄さんを抱きしめた。 「これからも、そばにいさせてください。突き放そうとしたって無駄なんですからね…」 「突き放しませんよ、むしろ俺から逃げ出そうとなんて考えないでくださいね?もしそうなっても…俺は、貴方が困るほどのプレゼントを用意して探し出しますから……」 抱きしめる私に、お兄さんも答えるかのように抱きしめてくれた。 「ふふっ……それは困りますね……」 「殺し屋」のお兄さんと、その殺し屋の「家政婦」の私。 歪で不格好に交わる2人。 私はこれからこの先も、お兄さんだけを愛するだろう。 この世界で唯一の人。 私は今、「幸せ」だ。  見つめ合う2人。 「愛しています、暁琉」 お兄さんはゆっくり私にキスをする。 嫌ではない。 むしろ心地良い。 「暁琉が俺を恋愛として好きになるように、これから本気で口説きにいきますから…覚悟しておいてくださいね?」 にやりと笑うお兄さんに、思わず吹き出してしまう。 「はい……望むところです」  人を………「愛する事」を知らない2人。 今後、2人の関係がどうなっていくのか…果たして鏡夜は暁琉に恋愛としての「愛してる」を言わせる事ができるのか。 そして今回この話の中で、あまり語られなかった暁琉の辛い過去…鏡夜の過去・殺し屋としての仕事内容………… その話は、また別の機会にて近々語ろうとしよう─────
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