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一刻もその場から立ち去りたかった私は、目に止まった路地へと入って行く。
さっきまでの明るすぎる街灯が嘘のようになくなり、あたりはしんと静まり返る。
(落ち着く……)
冷たく暗いこの路地は私の居場所とでも言いたげに、私の心を落ち着かせた。
「帰ろう」
もう家に帰って寝たい。
そう思い私は家へと向かおうとしたその時だった。
「う、うわあぁぁあぁぁぁぁぁあああっ!!!」
静まり返っていた路地裏で、突然男の叫び声が響き渡った。
「っ、!?」
あまりの大きな叫び声に、肩をビクッとさせる。
(なに…今の声…?)
心臓が、バクバクとうるさい。
声の矛先は、恐らく前からだ。
ゆっくり、ゆっくりと私は声がした方へと歩いて行く。
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